中古車の買取り相場がわかる「赤本」って何??

「自分の車を売りたいんだけど、中古車相場っていくらなんだろ?そもそも中古車を扱う買取査定業者の人たちはどうやって中古車の相場を把握しているんだろ?」
中古車の相場は単にメーカーや車種だけで算出できるものではなく、年式、走行距離、グレード、修復歴の有無、外装や内装の状態など、さまざまな条件のもとで中古車相場が算出されます。
「そこまで細かい条件をもとに中古車相場を算出しているのであれば、なおさら買取査定業者の人たちが中古車相場を把握しているかを知りたい!」
実は買取査定業者であっても、中古車相場をすべて把握しているわけではなく「赤本」という本をみて中古車相場を把握しているのです。
赤本は、受験生が使う入試問題の過去問を集めた本ではありません。
この本1冊で中古車相場が把握できるという、中古車に関わる業界の人にとっては必須のアイテムです。
今回は赤本とはどのような本なのか、個人で購入することは可能なのか、業者はどのようなときに赤本を使用しているのかについてご紹介します。
一般人は知らない?車業界で扱われる赤本とは??
赤本は有限会社オートガイドが発行している本で、正式には「Red Book」といいます。
創刊は1958年(昭和33年)ですので、2017年現在から換算すると59年もの間発行され続けている歴史の長い本です。
赤本は一般には流通していませんので、赤本のことを知っている方のほとんどは車に関わる仕事をしている人といえるでしょう。
赤本は、月報誌で車の中古車相場についてまとめられた本です。
しかも赤本をみると、かなり細かい形で中古車相場を知ることができます。
どのような形で中古車相場が表示されているのか、赤本には以下のような10項目によって中古車相場が算出されています。
①メーカー
②年式
③車種名
④中古車価格(下取価格・卸売価格)
⑤仕様(排気量・車台番号・駆動式・ミッション)
⑥認定型式
⑦通称型式
⑧類別区分番号
⑨新車発売価格
⑩中古車小売価格
中古車の価値はさまざまな状況によって変動しますが、赤本に記載されている中古車相場が標準的な中古車相場であるとされています。
赤本のすごいところは、すべての自動車メーカーのほとんどの車種がのっているため、よほどマイナーな車でない限りは、車の中古車相場を知ることができるのです。
「この赤本は個人でも購入はできるのか??」かというと、個人での購入は可能です。
では赤本の購入手続きに関してみてみましょう。
①インターネットで有限会社オートガイドの公式サイトhttp://www.red-book.jp/info.htmlにアクセス
して、PDFの購入申込書を印刷しFAX(03-3263-5240)するか、電話(03-3263-5238)で申込をします。
②後日、郵便局から郵便振替口座(00130-6-71567)への振込をします。
申込・支払いが完了すると、1年間にわたって定期的に赤本が指定された住所に届きます。
買取査定業者にとって赤本は必需品!?その使用方法とは??
赤本はどのような人が使っているのだろうか??
まず代表的なのは、中古車を販売している買取査定業者の人は赤本を携帯しています。
赤本には先ほど示しました①~⑩の情報が網羅されています。
買取査定業者は、赤本をみながら査定する車の状態を確認して査定額を算出していきます。
つまり買取査定業者にとって赤本は、査定する車の相場価格を知るためには欠かせない1冊なのです。
しかし赤本は、もともと買取査定業者が査定のときに使うために作られたものではないので、買取査定価格としてそのまま使うには問題が生じます。
赤本には中古車の条件や情報が細かく記載されていますが、例え年式・走行距離といった条件が一致していたとしても、それはあくまでも条件が一致しているだけであって、中古車は1台1台異なるものですので、まったく同じ状態のものはありません。
まったく同じ状態ではないのであれば、同じ査定価格をつけると矛盾が生じてしまいますよね。
それに中古車は地域ごとに需要が異なるため、中古車相場は地域ごとによって異なるはずです。
またグレードによって中古車相場が異なることは理解できたとしても、ディーラーのオプションや社外品パーツの装着などによっても中古車相場は異なるはずですよね。
つまり赤本に記載されている中古車相場で査定金額を決めてしまうのは無理があります。
買取査定業者は中古車相場の目安を知るために、赤本を使っているのです。
赤本をもっている買取査定業者であるからこそ、ネットを使ってすぐに中古車相場を提示してくれます。
ネットでは車の一括査定サイトというものがあり、このサイトに自分の車の情報を入力することで、複数の買取査定業者が買取査定金額の相場を示してくれます。
もし複数の買取査定業者が赤本を使って買取査定金額を算出していたとしても、どこかの買取査定業者が高値をつけてくれますので、もし本当に買取を依頼する場合は、最も高い価格をつけてくれた買取査定業者に車を買取ってもらうといいでしょう。
この業界も赤本を使用?!赤本を使っている業者は買取査定業者だけではなかった!
赤本は買取査定業者だけが仕事のために使っているのではないのですが、どのような業者が使っているか予想できますか?
車関係の仕事で使われているのですが、実は車の自賠責保険会社や任意保険会社も利用しています。
これらの保険会社は契約者が事故を起こした場合に、賠償金の示談の算出の話しになります。
そのときに、その車の価値がどれくらいのものなのかを図るために赤本を利用するのです。
また交通事故で車に損害が発生した場合に、修理する必要があるのであれば、適正な修理費相当額が損害として認められることになります。
ただ全損もしくは大きく破損した場合など、修理することができない場合は「修理費相当額」ではなく「車の時価相応額(再取得価格)」が損害として認められます。
全損時の損害額については、昭和49年に最高裁で判例が出た例があり、以下のように決定すべきとされています。
「原則として、当該車両と同一の車種や型・年式・同程度の使用状態・同程度の走行距離などの自動車を、中古車市場によって取得するために必要な価額によって定めるべき」(最高裁昭和49年4月15日交民集7巻2号275頁)となっています。
そして、この損害額を決めるときに参考にされるのが赤本です。
実際に中古車の時価が争点となった場合は、損保会社との話し合いの場だけでなく、裁判所でも赤本に記載されている金額を基準にするのが一般的となっています。
ただし、赤本に記載されている小売価格は低めの設定になっているため、現実にはその金額では中古車は購入できないので、時価として扱うのはふさわしくないといわれる場合があります。
どちらかというと事故の被害者にとって不利で、加害者側の保険会社側にとって有利なのです。
赤本に記載されている金額を基準にするという慣例があるため、それを覆すことは裁判ではなかなか難しいというもの実状です。
覆したいと思った場合は、赤本の記載金額が時価と大きく乖離していることを実証していかなければならないため、かなりの労力が必要になってきます。
このように保険会社や裁判においても赤本は利用されているのです。
さいごに
今回は赤本についてご紹介しました。
車の赤本についてはご存じなかった方が多かったかもしれません。
普段は車の買取査定業者や保険会社の人が仕事で使う本であり、おおよその中古車相場を調べるための本でした。
なぜ「おおよそ」の中古車相場なのかというと、赤本に細かく設定されている項目にあてはまっている車であっても、中古車というのはこの世の中で1台しか存在していないものであり、まったく同じ状態のものはありません。
また地域よって中古車の需要にも差があるため、赤本の中古車相場通りに査定金額を算出すると誤差が出てきてしまうため、あくまでも赤本に記載されている中古車相場は、あくまでも「相場」なのです。
もし具体的な買取相場を知りたい場合は、ネットで一括査定サイトを利用する方法があります。
一括査定サイトでは、車の情報を入力するだけで、複数の買取査定業者が中古車相場を提示してくれます。
ただネット上で入力する車の情報だけでは、中古車相場だけしかわからず、詳細の買取査定金額は算出されません。
詳しい買取査定金額を知りたい場合は、実際に買取査定業者に現車を確認してもらう必要があります。
なぜかというと、単に年式、積算距離、グレードだけでは詳しい価格をつけることができないからです。
もしあなた自身が、社外品パーツ(ナビやホイールなど)を自分で購入して装着した場合、そのパーツを含めた買取査定金額を出してほしいですよね?
そのような部分までの査定に関しては、赤本に反映されなくて当然です。
個々人によって車のカスタマイズの仕方が異なりますし、パーツの価格についてもさまざまですので反映するほうが無理がありますよね。
赤本は個人的に購入することも可能ですので、年間払いで最初に支払うお金は多額になってしまいますが、自分の車の中古車相場だけでなく、他の車種の中古車相場を知ることも可能です。
これから自動車商の資格をとって、中古車ショップを開きたいという人にとっても、赤本のデータは貴重なものになりますよね。
今回の記事をお読みなり、赤本に興味をもたれた方は、年間購読またはオークションなどの中品で購入していただき、現物を見てみてはいかがでしょうか。