車買取の基礎知識

車を売るときに保険はどうしたらいいのか?自賠責保険や任意保険の解約手続きについて

車を売るときに保険はどうしたらいいのか?自賠責保険や任意保険の解約手続きについて

車を売却したときに忘れてはいけないのは、保険の解約手続きです。

車の保険といっても、加入が義務づけられている「自賠責保険」と、ご自身で加入する「任意保険」があります。

車を売却するとなった場合は、これらの保険を解約しなければ、車をもっていないのに保険料が発生してしまいます。

今回は、車を売却したときの自賠責保険や任意保険の手続きや解約についてご紹介します。

車を売却するときは自賠責保険はどんな手続きをすればいいの??

自賠責保険とは、車を使用する際に加入が義務づけられている保険で、基本的には2年に1回(車検ごと)に保険を更新するのが一般的です。

自賠責保険は、誰がどこで加入しても補償内容や保険料が同じです。

自賠責保険は、車の所有者・使用者にかけられているのではなく、車自体にかけられているものなので、売却時に車の名義変更が行なわれれば、自賠責保険の名義も新しい使用者に変更されます。

そのため、車を売却しても自賠責保険に関しては何の手続きも必要ありませんが、車を売却する際に保険期間が残っている場合は、残りの保険期間の保険料は返還してもらうことができます。

例えば25ヶ月の自賠責保険を、保険期間残り16ヶ月にして車を売却した場合、15400円の保険料が還付(戻ってくる)されます。

つまり車の名義変更を手続きした場合、自賠責保険の残りの保険期間があるときは、次の使用者から残りの保険期間の保険料を支払ってもらわなければあなたが損してしまいます。

車を売却するときに任意保険はどんな手続きをすればいいの??

任意保険とは、任意で加入する自動車保険で、契約者によって補償内容や保険料などが異なります。

保険の対象は車であることは確かですが、契約そのものは契約者に対して結ばれていますので、車を売却する際はご自身で任意保険会社に問い合わせする必要があります。

単に車を売却するといっても、車の手放し方によって任意保険の手続きは次の3つに分かれます。

①新しい車に乗りかえるときの「車両変更手続き」

次に乗りかえる車が決まっている場合はこの手続きをとります。

古い車を売却して新しい車に乗りかえる場合、車両変更手続きをすれば等級を新しい車でも引き継げるので、保険料の割引率も変わりません。

任意保険は等級制度となっているため、事故などで保険を使わない限り1年ごとに等級が上がっていき、保険料の割引率が多くなるというしくみをとっています。

車を売却するからといって、これまで任意保険に加入していて1度解約してしまい、その後新しい車を購入するために新たに任意保険に加入すると、6等級という保険料の割引率が少ない低い等級からスタートしなければなりません。

②今の車は手放すけどいずれまた別の車に乗るかもしれないときの「中断手続き」

一旦車を所有しなくなるけれど、今後別の車を購入するという場合はこの手続きをとることをおすすめします。

任意保険の新規契約は6等級スタートになるので、7等級以上であれば中断手続きをとりましょう。

中断手続きをすることで「中断証明書」が発行されますが、この中断証明書があれば10年間は等級をそのまま保つことができます。

③手放してもう乗らないときの「解約手続き」

今後車を購入する予定がない場合はこの手続きをとります。

これから先まったく車に乗らないという人や保険等級が6等級の人は、解約手続きをとるといいでしょう。

任意保険の「中断証明書」ってどんな書類??

先ほどの任意保険で中断手続きを行なうと「中断証明書」という書類が発行されるとお伝えしました。

中断証明書があれば10年間は任意保険の等級がそのままになるため、新たに車を所有した際も中断手続き前の等級を引き継ぐことができます。

中断証明書はいつでも発行してもらえるわけではなく、次の7つの理由で車に乗れない場合にのみ発行してもらえます。

①廃車(永久抹消・一時抹消)
②譲渡、リース業者への返還
③契約自動車の車両入替
④車検切れ
⑤盗難
⑥災害
⑦記名被保険者の長期海外渡航

この7つの中に「売却」という項目はありませんが、売却は「譲渡」という扱いにあるため、中断証明書の発行がみなされる正当な事由となります。

中断証明書を発行してもらうためには、任意保険会社に①~⑦の事由を連絡するだけではなく、①~⑦を証明するための公的な書類が必要になります。

では①~⑦の事由の場合に、どのような公的書類が必要なのでしょうか。

①その事実と日付が確認できる公的資料の写し →「登録事項等証明書」「譲渡証明書」など

③別契約の車両入替のための「承認請求書」「承認書」 など

④その事実や有効期間満了日を証明できる資料の写し →「車検証」「検査記録事項等証明書」など

⑤盗難届の写しとそれを提出した警察署名

⑦どのような書類が公的証明書になるかは保険会社に要確認

中断証明書を発行してもらうためにはこれらの公的書類だけでなく、以下の2点がさらに必要です。

・任意保険会社発行の「中断証明取得依頼書」
・任意保険加入時に発行された「自動車保険証券(任意保険証書)」

もし中断後に等級を引き継ぎ、新たに保険を契約するためには次の5つのおもな条件があります。

①中断日から新しい保険の契約開始日までの期間が10年以内である
②中断前の車と車の用途や車種区分が同じである
③新しい車を取得して1ヶ月以内である
④車の所有者が中断前と同じか配偶者、同居の親族である
⑤中断前と保険の被保険者が同じである

中断後に保険等級を引き継ぐには、おもにこの5つの条件を満たしていなければなりません。

細かい条件に関しては任意保険会社によってさまざまなので、一度任意保険会社に確認するといいでしょう。

任意保険を解約すると保険料は戻ってくるの?!

任意保険の支払い方法は「年間一括払い」「年間分割払い(月払い)」がありますが、年間分割払いより年間一括払いのほうが約5%安いので、年間一括払いを選択する人が多くいます。

もし年間一括払いをした場合、保険期間中に任意保険を解約した場合は、保険料は還付されるのでしょうか?

それに関しては安心していただいていいところで、年間一括払いした際に途中解約をしても、残りの期間に応じて保険料は還付されます。

「解約返戻金=年間保険料×(1-契約が経過した期間に対応する短期率)」で計算をします。
短期率とは解約返戻金の計算に用いられる比率のことで、その数値は解約までの期間での契約を結んだと仮定した場合に、年間保険料に対してどれくらいの保険料金になるかを表しています。

経過期間が「10ヶ月まで」の時点で解約すると、短期率が90%となっていることがわかります。

つまり10%分しか保険料は戻ってこないため、2ヶ月分の保険料が返還されるわけではないのです。

例えば、年間の任意保険料が50000円、保険を契約してから10ヶ月と20日たったとします。

10ヶ月と20日たっている場合は、11ヶ月経過しているとみなします。

先ほどの表を利用すると「11ヶ月まで」の区分をみることになるため95%となっていることがわかります。

つまり任意保険を解約したときに戻ってくるお金は50000円×(1-0.95) = 2,500円となるのです。

任意保険料を年間分割払いにしている場合は、月割りの計算を行ないます。

任意保険の経過期間が5ヶ月未満で、すでに6ヶ月目の保険料金が引き落とされている場合は、1ヶ月分がまるまる返還されることになります。

ただし口座振替のように、保険始期日よりもあとに引落しが行なわれる場合は、逆に1ヶ月分の追加保険料を請求される場合もありますのでご注意ください。

自賠責保険・任意保険の解約にまつわるこんなトラブル…!

自賠責保険の場合は、車の名義変更が適切に行なわれていれば、自動的に自賠責保険の名義も変更されるため、自賠責保険に関しては基本的に手続き不要です

ただ車を売却したのに自賠責保険の更新のはがきが届いたという話しは実際にあります。

この場合は車の名義変更がされていないことになるので、速やかに売却先に確認をとる必要があります。

少し安心できるのは、自賠責保険は名義人で判別されているわけはなく車台番号で判別されているため、

名義変更されていなくても、売却済みの車であれば保険料を支払う必要はありません。

しかしそのままの状態で事故が起こると、保険処理に時間がかかったり元の名義人が何かしらの手続きをしなければならない場合があります。

任意保険の場合は、売却時に任意保険の手続きをし忘れていた場合、過去にさかのぼって解約することができませんので、解約を申し出たその日以降に解約するしかありません。

もちろん保険料を無駄に支払うことになったり解約返戻金が少なくなってしまうため、売却時は忘れずに手続きするようにしましょう。

さいごに

今回は、車を売却したときの自賠責保険や任意保険の手続きや解約についてご紹介しました。

自賠責保険の解約に関しては、車の名義変更や抹消登録手続きが適切に行なわれていれば、自動的に解約手続きが進みますので、特別に何かをしなければいけないということはありません。

しかし任意保険の解約に関しては、ご自身で任意保険会社に手続きをとらなければいけません。

新しい車に乗りかえるときは「車両変更手続き」、今の車は手放すけどいずれまた別の車に乗るかもしれないときの「中断手続き」、手放してもう乗らないときの「解約手続き」など、手続きは3種類あるので、ご自身に合った手続きをなさってください。

スムーズに手続きを行なうことで還付金や解約返戻金がありますので、ご自身が損しないように保険を手続きを行ないましょう。